今日も「ごちそうさま」を言いたい

摂食障害・過食嘔吐歴6年、MEC食と出会う。

普通になりたいがために何もかも失ったけど。

小学生の時の私に言いたい。あんまり、覚えていないけど。「世界はあんたなんかどうでもいい、わがまま言わずに粛々と人生を楽しむ気持ちでいなさい」。小学生の時の私は、もう、思い出したくないぐらいわがままでクソガキでした。どうしたらこんなクソガキを矯正できるかな。

 

アメリカに連れていかれた頃の私に言いたい。「つらかったね。嫌だったね。毎日が地獄で、それを4年もがんばったね。それはどうしようもなかったことで、もう一度同じ人生を歩まされても、やっぱり頑張ることはできない。英語は絶対に話せるようにはならないし、あの風土に馴染むことはない。でも、110キロになる前にちょっと鏡見ようか?」。私は相変わらずクソガキだったけど、あれはもう。思い出したくないくらい辛い生活だった。

アメリカそのものは嫌いじゃないし、アメリカ人も好きだけど、アメリカ生活は恐ろしく私と合わなかった。英語はいつまでたっても、不思議なくらい話せなかった。悔して。悲しくて、辛くて。生理的に受け付けない風土の中で、ストレスで過食傾向になって、110キロになって、なんかもう、うん。とにかく思い出したくない。アメリカに行かなければもっとマシな人生を送ってたとは思う。

父の転勤は仕方ないとはいえ、されど我が脳裏に一点の彼を憎む心今日までも残れりけり。舞姫

 

高校生の時の私に言いたい。…ことはあんまりない。なんかもう「こいつに何言っても仕方ねーな」ってぐらいにはクズだった。アメリカ生活でズタズタになった私は、どれだけその高校に、帰国子女枠と言う名のお情けで入れてもらえた自分の境遇が幸運なのか説いても、聞く耳持たずです。言いたい、というより、ぶん殴りたい。初手、顔面ジョブ。おしまい。

 

大学生の頃は、最初はすごく楽しくて、「よくぞあの底辺からここまで上昇してこれたな!」って褒めてやってもいいと思う。過食嘔吐になるまでは。過食嘔吐になってしまう前に「人生捨てたものじゃないわ」っていうことを理解できたら、もしかしたら、過食嘔吐にならなかったかも。人生捨てたものじゃないわ。

過食嘔吐になってからは地獄だった。同時に、ものすごく幸福だった。なにせどんなストレスも過食嘔吐が流してくれる。好きなものを好きなだけ詰め込む幸福。吐けば吐くほどに、つらい満腹感から解放されるし、吐瀉物と一緒にストレスも出て行った。私は幸福だった。私の大好きな、なにもかもを切り売りしてまで、その幸福にしがみつきました。愚かなことでした。

 

思い出したくないくらい、サンホラが大好きでした。知っていますか?紅白にも出たのですけれど。紅蓮の弓矢進撃の巨人っていうアニメの主題歌でした。

深く語るととめどないから語れもしないけど、本当に大好きだった。何万円出してもファンクラブ限定のプレミアム席の抽選に当たって、最前列で見て。泣いて。それでも過食嘔吐に侵されてて。でも、心の底からサンホラが大好きで。

グロい漫画なんか大嫌いなのに、進撃の巨人の漫画を「紅蓮の弓矢」のために買い揃えたんです。読んだらやっぱりグロくて、だからもう読めないのに、歌詞に共感するために頑張って読んで、おえおえしながら読んでいた。これは宗教だとさえ思うくらいに。

 

けれど普通の人はサンホラなんて好きじゃないんですよね。私は妄信的に、過食嘔吐を止めるために「普通」になりたかった。普通の女性はサンホラなんか好きじゃない。私は断捨離の中で、サンホラのプレミアムグッズもライブのブルーレイも手放しました。好きでいることが怖かった。手放せば普通に近づくと思ったら、もう止まらなかった。

私が救われるために、私は私じゃなくなる。私が私でいるうちは、この世界に上手く生きられない。それでもこの社会で、普通の枠で生きたいなら、普通の枠に近づかなければならない。サンホラなんか好きじゃいられない。

 

なんでこんなに好きなものを手放さなければならないんだろう。ドールといい、サンホラといい。でも、ドールもサンホラも好きでいながら普通になるなんて、私はそんな上手に生きられないんだよ。

過食嘔吐じゃなければ思わなかったかもしれないな。普通という枠に収まりたいがために、私は私を手放した。けれど、それからたしかに、私は生きやすくなったんだ。私は弱すぎた。

 

ふと有線でサンホラの新曲が流れて、一度逃げ出しました。なんかすごく怖かった。戻りたい、戻りたくない、胸に薔薇のコサージュを付けてライブに行っていた私は、心の底から幸せだった。でもそれってちょっと、普通かって言われたら、普通ではないと思う。だって当時は普通ではないことが素敵だとさえ思ってた。サンホラってすっごく特別で、全然普通じゃなかった。

過食嘔吐という「あんまりにもあんまりな異常事態」に針が振れてしまった私は、極端すぎるほどの「普通」に針を振り切らなければ、常人レベルに戻れないんだって今も思う。サンホラもドールも好きで、それでいて生きやすくなるためにはどうすればよかったんだろう。過食嘔吐にならなければ…。

 

過食嘔吐とともに何もかも失って、思い出せば悲しくて泣きそうになるけど、こんなに生きやすい。

料理が好きで、介護の仕事をしてて、他に趣味はないけれど、平坦に、普通に、あまりにも長い余生を生きていく。

 

 

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